《読み下し》
かへす/\、このあいたとをのき(遠退)(「候」脱ヵ)へは、一しほ御なつかしく存計候、
秀吉(「頼ヵ」)さまこなたに御さん候ハねは、るすのやうにて、一しほとせん(徒然)、なか/\申はかりなく候、
又申候、ひのようしん(火の用心)かたく御申しつけ候へく候、まいや(毎夜)へや/\へ、二三と(度)はかり、
人を御まハし候へく候、御ゆたん(油断)あるましく候、
この一両日ハ申入候はす候、御ゆかしく存候間、秀よりについて御なつかしく存事、
御すいりう(推量)のほかニて候、やかて六七日の内に参候て可申候間、
つもる御物かたり可申候、其御心へ候て御侍申候へく候、
秀よりさまひへ候ハんよう、御せいにいれられ候ハん事かん(肝)にて候、めてたくかしく、
十二月八日
(切封)
御ふくろさまへ 大かう